離婚を考えたとき、多くの人が最初に気になるのが「どのくらいの費用がかかるのか?」ということです。精神的な問題や子どものことと並んで、離婚費用は大きなハードルの一つであり、準備や理解が不十分だと後悔やトラブルの原因になることもあります。この記事では、「費用」という観点から離婚に関するお金の話を総まとめ。協議離婚、調停離婚、裁判離婚それぞれの違いや、弁護士費用、財産分与、養育費、慰謝料、引っ越し代など、現実的に必要となる出費を具体的に解説します。

まず、離婚の方法には「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の3種類があり、どの方法を選ぶかで費用も大きく変わります。最も費用がかからないのは協議離婚で、夫婦間の話し合いで合意し、役所に離婚届を提出するだけなら基本的に無料です。ただし、話し合いが難航したり、書面(離婚協議書)をしっかり残したい場合は、行政書士や弁護士に依頼することが多くなり、書類作成費用として5万円〜10万円程度が必要です。さらに、強制力を持たせるために公正証書にしておきたい場合には、公証人役場での手数料や印紙代など、数万円の追加費用がかかることもあります。
調停離婚になると、家庭裁判所に「調停」を申し立てる必要があります。申立自体にかかる費用はそこまで高くなく、収入印紙代(1,200円程度)や郵便切手代など、トータルで数千円で済むことが多いです。しかし、調停は複数回にわたって開催され、話し合いが長引くこともあるため、弁護士に依頼する場合には着手金・報酬金が必要となります。一般的な相場では、着手金が20万〜30万円、成功報酬が同程度、合計で40万〜60万円程度が目安となります。内容が複雑な場合や相手が争ってくるような状況では、さらに費用が上乗せされることもあります。
裁判離婚は、最も時間も費用もかかる方法です。調停を経ても解決できなかった場合に家庭裁判所に訴訟を起こす形になり、弁護士への依頼はほぼ必須となります。着手金が30万〜50万円、報酬金が同等またはそれ以上、さらに期日ごとに日当や書類作成費用などが発生するため、合計100万円を超えるケースも珍しくありません。証拠集めや書類の準備、出廷への対応など、精神的負担も大きく、費用と手間の両面で非常に重い選択肢といえるでしょう。
離婚費用で見落とされがちなのが、日常生活に直結する「間接的な費用」です。例えば別居に伴う引っ越し代や新居の初期費用、生活用品の買い直し、家電・家具の購入など、20万〜50万円程度は見ておくべきです。さらに、片方が専業主婦(主夫)だった場合には、生活費の確保や一時的な収入減に備えた資金も必要になります。また、子どもがいる場合は養育費や学費も継続的に発生します。養育費の相場は家庭裁判所の「算定表」によって目安が示されていますが、子どもの年齢や収入差によっても変動し、月額3万〜8万円程度が多く見られます。
財産分与は「もらえるお金」として捉えられがちですが、共有名義の住宅やローンがある場合、持ち分の整理や売却費用、登記変更費用、税金なども発生します。とくに住宅ローンが残っている家をどちらかが引き取る場合、その後の支払い方法や名義変更の協議が必要で、専門家の介入なしにはトラブルになりやすい分野です。これらを弁護士に一括で依頼すれば手続きは楽になりますが、そのぶん費用も上乗せされます。慰謝料に関しては、不貞行為(浮気・不倫)やDVが明確な証拠として認められる場合に、相場としては50万円〜300万円程度が請求されることが多いです。ただし、支払われる保証はなく、訴訟まで発展すると時間も費用もかかるため、現実的には交渉でまとまる金額で妥協するケースも多々あります。
では実際に、離婚費用をどう準備すればよいのでしょうか?まずは自分の貯金と収入を確認し、最低限どれだけの資金が必要かをシミュレーションすることが大切です。弁護士費用や生活再建費用、引っ越し代などをリスト化し、優先順位をつけながら段階的に動くことで、負担を分散できます。費用の目安を把握したうえで、無料相談を行っている法律事務所や、法テラスのような公的支援も積極的に利用しましょう。法テラスでは収入基準を満たせば、弁護士費用の立替制度を利用することができ、月々分割で返済可能な点も大きなメリットです。
離婚は人生の大きな転機です。費用という現実的な問題を直視し、必要な準備をすることで、精神的にも経済的にも安定した再出発が可能になります。今は不安でも、一歩ずつ備えていけば確実に前に進めます。損をしないためにも、早めに動き、必要な情報を手に入れましょう。
費用
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