-私が“籍を入れない結婚”を選んだ理由とその現実–

はじめに:「なんで結婚しないの?」と言われ続けた私へ
こんにちは。私は現在、パートナーと事実婚というかたちで一緒に暮らしています。
入籍はしていませんが、もう10年近く、生活も気持ちも“夫婦”そのものです。
正直、最初は「籍を入れないこと」がこんなにも周囲の理解を得づらく、また制度的にも不便が多いとは思っていませんでした。だけど、それでもこの形を選んでよかったと、私は今も心から思っています。
今日は、実際に事実婚で生きている私の目線から、事実婚のメリットや課題、そして日常のリアルをお伝えしたいと思います。これからの関係性をどう築くか迷っている方の参考になれば嬉しいです。
私たちが“籍を入れない”と決めた理由

私がこのパートナーと出会ったのは、30代半ばを過ぎた頃。仕事にも自分の生活にもそれなりに自信がついてきたタイミングでした。
彼も私も、過去にそれぞれ結婚歴がありました。
私は前の結婚で苗字が変わり、それが仕事上とても大きなストレスになった経験があります。勤めていた会社では旧姓使用が認められず、名刺も書類もすべて変更。得意先との信頼関係の再構築に時間がかかり、正直、精神的にもつらかったのを覚えています。
「もう、あんな思いはしたくない」
それが、私の中での大きな理由でした。
彼もまた、籍にこだわるタイプではなく「大事なのは気持ちと日常でしょ?」という人で。話し合いを重ねた結果、籍を入れずに暮らす“事実婚”という選択にたどり着きました。
書類ではない「夫婦」というつながり
一緒に住み始めてからの生活は、正直、法律婚となんら変わりません。
食事を作ったり、掃除をしたり、たまにケンカもして、でもお互いを尊重して…ごく普通の日常。お互いの親とも交流があり、冠婚葬祭には2人で出席します。周りからはほぼ100%「夫婦」と見られています。
住民票も同一世帯で、続柄には「未届の妻」と記載されています。
郵便物も一緒に届くし、保険や契約関係も共同で行っています。
「書類じゃない夫婦関係も、ちゃんと成り立つ」
それが、私が感じているリアルです。
事実婚のメリット:自分らしくいられる結婚
私にとって事実婚は、「自分の人生を主体的に選ぶことができるかたち」でした。

● 苗字を変えなくてよかった
このメリットは本当に大きかったです。名前が変わらないことで、キャリアや人間関係に無駄な負担がかからなかった。何より、自分らしく働き続けられたことに感謝しています。
● 気持ちの自立が保たれる
法的に縛られていない分、「一緒にいたいから一緒にいる」という感覚が強くなります。
嫌なことがあれば離れることもできる…そんな緊張感が逆に“絆”になっているように思います。
● 離婚手続きが不要
もし別れることになっても、離婚届などの役所手続きがいりません。子どもがいなければ、比較的スムーズに関係を解消できます。これは、再婚経験者としてはありがたいポイントでした。
事実婚の壁:制度と世間の“目”
それでも、現実には乗り越えなければならない課題もたくさんあります。
● 相続の壁
最も大きいのが「相続権がない」こと。
私たちはお互いの死後についても話し合い、遺言書を作成しています。これがないと、いくら長年連れ添っても財産を一切受け取れない可能性があるんです。
● 病院で「家族」扱いされないことも
私のパートナーが一度入院したとき、家族同意が必要な場面で「配偶者ではないので…」と遠慮された経験があります。
「一緒に10年暮らしてきたのに、家族じゃないの?」と思い、少し悲しくなりました。
今は、いざというときのために**公正証書で「同意権委任状」**も作ってあります。
● 周囲の理解が得られないこともある
「なんで籍入れないの?」
「ちゃんと結婚すればいいのに」
こんなことを言われたことは、一度や二度ではありません。
特に親世代、地方出身の親戚などからは、未だに偏見の目を感じることもあります。
子どもについて考えたこと

私たちには子どもはいませんが、子どもができた場合は父親の「認知」が必要になります。そうしないと、法的な父子関係が認められず、戸籍や相続にも影響が出るんです。
子どもを育てながら事実婚をしている友人もいますが、保育園の手続きや学校の書類などで説明が必要になる場面が多いと聞きました。
事実婚を選ぶ上で、子どもに関する法律的な備えも本当に重要だと感じています。
それでも私が事実婚を続ける理由
私がこの生活を10年続けてこられたのは、パートナーとの信頼と、お互いに選び続けているという感覚があるからです。
“紙切れ1枚”と言う人もいますが、その紙1枚に振り回されない関係を築きたかった。毎日をどう生きるか、どう支え合うか、どう乗り越えるか。それは、婚姻届があるかないかでは測れないと、私は思っています。
もちろんリスクはあります。
制度上の限界、世間からの目、書類で証明できない“家族”という関係。
それでも、自由と責任のバランスを取りながら、自分たちだけの「家族のかたち」を築くことには、確かな意味があると思っています。
後に:誰かに「大丈夫だよ」と伝えたくて

これを読んでいるあなたがもし、事実婚を検討していたり、迷っていたり、周囲の目に不安を感じていたりするなら…。
私は声を大にして言いたいです。
「籍を入れない」という選択は、逃げでも、後ろめたいことでもない。
それは、あなた自身が納得して、自分の人生を選ぶという、前向きな決断です。
社会はまだ完全に追いついていないけれど、少しずつ、事実婚を認める制度も増えています。
法的な備えさえきちんとしておけば、安心して暮らしていけるはずです。
あなたが、あなたらしく、誰かと一緒に笑って過ごせる日々を築けるように。
事実婚という選択肢が、その一助になれば嬉しいです。
離婚相談パートナーは悩めるあなたの味方です。