
「トラブルを解決したい」「証拠を残したい」そんなときに活躍するのが内容証明郵便です。
でも「なんだか難しそう」と感じて、使ったことがない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、**内容証明とは何か?**から、実際の書き方や送り方、費用、注意点まで、初心者にもわかりやすく解説します。
誰でも使える便利な制度なので、ぜひ知っておいてください。
1. 内容証明とは?どんなときに使うの?

内容証明とは
内容証明とは、「いつ」「誰が」「どんな内容の手紙を送ったか」を郵便局が証明してくれる郵便のことです。
普通の手紙やメールは、送ったこと自体を後から証明するのが難しいですが、内容証明を使えば、郵便局が記録してくれるため、法的な証拠になります。
どんなときに使う?
内容証明はこんな場面でよく使われます:
- 借金の返済請求
- 家賃滞納の督促
- 慰謝料や損害賠償の請求
- 離婚や婚約破棄の意思表示
- 契約解除の通知
- クーリングオフの申請
つまり「ちゃんと通知した事実を残しておきたい」「後から『聞いていない』と言われたくない」場合に便利なのです。
2. 内容証明のメリットとデメリット

メリット
- 法的証拠になる
「送った」「受け取った」「こういう内容だった」が公的に証明される。 - 心理的プレッシャーを与えられる
相手は「本気だ」と受け止めやすく、交渉や支払いに応じやすくなる。 - 後の裁判に有利
もし裁判になっても「通知した事実」が裁判所に認められる。
デメリット
- 費用がかかる
普通郵便よりコストが高い(詳細は後述)。 - 相手に強い印象を与える
相手との関係が悪化する場合がある。慎重に使うべき。 - 内容そのものの真偽までは証明できない
「こういう通知をした」という証明だけ。内容が正しいかどうかは別問題。
3. 内容証明の書き方

基本ルール
- 縦書き・横書きどちらでもOK
- 1行20字以内、1ページ26行以内(手書きの場合)
- 誤字脱字は訂正印で修正する
- 送り主(差出人)と受取人(宛名)を明記
書くべき項目例
- 差出人の氏名・住所
- 受取人の氏名・住所
- 日付
- 本文(事実の経緯・請求内容・期限など)
- 結び
具体例(借金返済請求)
内容証明郵便
2025年6月6日
〇〇市〇〇町1-1-1
差出人:山田太郎
△△市△△町2-2-2
受取人:佐藤花子
拝啓
私は、貴殿に対して2024年1月15日に貸し付けた金30万円(借用書有り)について、返済期日2024年12月31日を過ぎても返済いただいておりません。
つきましては、本書面到達後10日以内に全額をご返済ください。
期限内に返済なき場合は、法的措置を検討いたします。
敬具
山田太郎
4. 内容証明の送り方

①郵便局へ持ち込む
- 本物+コピー2部の計3部を用意(1部は郵便局保存、1部は相手、1部は自分控え)
- 本局(集配局)の窓口で「内容証明郵便でお願いします」と伝える
②配達証明もつける
「相手が受け取った日付」も証明したい場合は配達証明も一緒につけましょう。
→ 裁判の証拠力がさらにアップします。
③費用はいくら?
5. 内容証明の費用

内容証明は以下の料金がかかります(2025年6月現在・税込):
区分 | 金額 |
---|---|
通常郵便料金(定型25g以内) | 84円 |
内容証明料 | 460円 |
配達証明料(任意) | 320円 |
合計 | 約864円〜 |
※用紙代・コピー代など別途発生することもあります。
弁護士に依頼する場合は1〜5万円程度の費用がかかります(文案作成+発送まで依頼)。
6. 内容証明を送るときの注意点

感情的な表現は避ける
内容証明は「正式な通知」です。
感情的な言葉や相手を中傷する表現は避け、冷静で事実に基づいた記載を心がけましょう。
事前に一度話し合いを試みる
突然内容証明を送りつけると相手が強く反発する場合があります。
まずは**事前の話し合い(メールや電話)**で解決の余地を探るのが望ましいです。
証拠をしっかりそろえてから
いざ裁判になった場合に備えて、契約書・借用書・メール履歴など証拠をそろえてから内容証明を送りましょう。
7. 内容証明を使った後の流れ

相手が応じた場合
- 速やかに解決(支払い・謝罪・契約解除など)
- その後のトラブルも避けやすくなる
相手が無視・拒否した場合
- 内容証明は証拠になるので、**法的措置(裁判・支払督促など)**へ移行可能
- 弁護士に相談して次のステップへ進む
8. どんなときに弁護士に依頼すべき?

自分で書ける場合
- 少額の請求(数万円〜十数万円)
- 相手との関係が比較的穏やか
弁護士に依頼したほうがよい場合
- 高額な請求(数十万円以上)
- 感情的にこじれている
- 法人間トラブル
- 相手が反社会的勢力の疑いあり
- 裁判を見据えている
弁護士なら、法的に有利な文面を作成してくれるので安心感があります。
9. よくある質問(Q&A)

Q1. 内容証明を送っただけでお金は必ず回収できますか?
A. 必ずしも回収できるわけではありません。ただし相手への心理的プレッシャーとなり、回収につながるケースは多いです。
Q2. メールやLINEではダメですか?
A. ダメではありませんが、公的な証明力は内容証明郵便の方がはるかに強力です。特に裁判を見据えるなら内容証明をおすすめします。
Q3. 法律に詳しくなくても自分で書けますか?
A. 可能です。テンプレートを参考に事実を正確に書けばOKです。ただし自信がない場合は弁護士に相談しましょう。
Q4. 相手が受け取り拒否したら?
A. 受取拒否の事実自体も証拠になります。郵便局から戻ってきても「送付した事実」は証明されます。
まとめ:内容証明はトラブル予防・解決の強い味方

内容証明郵便は、一般の人でも簡単に使える法的証拠作成の手段です。
- しっかりとした証拠を残したいとき
- 相手に誠意ある対応を求めたいとき
そんな場面で非常に有効です。
ただし使い方を誤ると逆効果になることもあるため、冷静に・事実に基づいて活用してください。
トラブルが複雑な場合は、弁護士の力も借りながら進めると安心です。
離婚相談パートナーは悩めるあなたの味方です。